彼と旅行

ある女性が彼を旅行に誘ったとします。

彼と彼女は過去に何度か彼の運転で温泉旅行に行ったことがあり、彼女はそんな旅行にまた行くのもいいなとは思ってはいましたが、彼を誘う時には単に「旅行」と言う事だけで誘い、特に過去に行ったような「温泉旅行に行こう」とは伝えていませんでした。

ただその時に彼は、彼女の誘いを断りました。
彼は、「旅行」自体は嫌いではないのですが、特に温泉に入りたい気分ではないし、長い距離を運転するのも面倒だと感じたところで彼女の誘いを断ったのです。

彼女は、
「彼は、私と旅行に行くのはもう嫌になったのね。」
と感じ、とても寂しくなりました・・・。


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この二人のやり取りはどう考えるべきでしょうか。
この彼は、彼女から旅行を誘われた時点で自動的に過去に二人で何回か行った旅行を想像して、今回もそれと同様の温泉旅行を誘われていると考えました。

実際のところ口には出していません彼女としてもそんな温泉旅行を彼にも望んで欲しいと思っています。

ここで一つポイントなのは二人の間で「旅行」という言葉が出ますと、二人の中の理屈は多少違っていてそれは過去に二人が行ったような温泉旅行を想定するという「無言の認識」が二人の間に存在しているというところです。

そのため彼としては、無言のうちに、
「車を運転して、温泉に入って、帰ってくる」
という内容を自分が望んでいるかどうかだけでもって彼女の誘いの返事の判断をしたわけです。

彼女の心の中では
「必ずしも過去と同じ内容でなくてもいい」
という気持ちがあったとしても、上の二人のような

旅行を誘った → 旅行を断った

というやり取りだけしかそこになければ結果的にこの理屈は二人の間でずっと続いてしまいます。

ただ、もしかするとこの時に彼は別の内容の旅行であれば、行くと返事をしていた可能性があります。


この理屈は、二人の触れ合いやセックスについても言えます。

二人の間で無言の認識となっている「セックスの形」のイメージがあり、二人の間でセックスの話が出ると暗黙のうちに、「そのセックス」をしたいかどうか、だけの理屈になっていることはよくあります。

そうしますと、そのセックスをしたいと思える時期がくるまで話が進まない、ということにもなりがちです。

たとえば、先程の彼は昔と違って仕事が忙しくなって疲れているのかもしれません。
その現在の彼にとっては車の運転を想像しただけで消極的になってしまいましたが、そんな時、

「現在の忙しい彼でも、どうやったら過去と同じ温泉旅行に気持ちを向けられるか」

ということよりも、

「現在の彼でも無理なく行ける旅行はどういう形だろうか」

という方向性はとても重要になってきます。


二人の生活状況や、気持ち、性欲など時間とともにお互いに様々に変化するのは必然的なものですよね。
そんな中で、
「現在の二人に合わせたセックスの形」
という方向性はとても大きな部分です。


がんばって二人を何とか前に進ませよう、という時にも、この方向をどちらに向けるかだけ行き詰まってしまうか、前に進んで行けるかの大きな違いが出る部分でもありますね♪

 

2017年06月02日